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こうしたニーズに応えるため、東京工業品取引所は一九九一年四月一日から、貴金属の取引を板寄せからザラバヘの移行に踏み切りました。
これはコンピューターを使った取引で、東工取では「ワンステム売買」と呼んでいます。
システム売買ではどのように商いが成立するのでしょうか。
売り買いの注文は立ち会いの開始前から受け付けます。
その注文が表のようになったとします。
さて、いよいよ取引の開始です。
ザラバ方式は売買注文の出された時刻の早い注文が優先しますが、寄り付き前の注文はすべて同一時刻の注文として扱います。
ただし、「いくらでもいいから買いたい(売りたい)」という成り行き注文は指し値注文より優先し、指し値でも売りは低い価格、買いは高い価格の注文が優先します。
取引は売買注文の最も多い価格が基準になり、この場合は二百八十円です。
売りは成り行き注文の八枚と指し値が二百八十円以下二十五枚の計三十三枚。
一方の買いは成り行き注文の十二枚と二百八十円以上の指し値注文二十枚を合わせた三十二枚売り買いの枚数が一致すれば問題はありませんが、例にあげたケースでは売りが一枚多くなります。
この一枚は、売り手の中で最も高い価格(ここでは二百八十円)を指し値したD、E、Fのいずれかが売れ残りとして持つことになります。
すなわちD、E、Fの売り枚数計十一枚のうち十枚だけ割り当てられるわけです。
その割り振りは次の順序で行います。
まず、一枚ずつ割り当てます。
すると残りの売り希望枚数は多い順にE五枚、D三枚になります。
つ割り当てます。
E三枚、D二枚が残ります。
続いて多い順に二分の一ずつ割り当てます。
残りはE、Dともに一枚。
この時点ですでに九枚割り当てられています。
最後の一枚は最初の注文数の多いEに割り当てられ、Dが売り一枚を残すことになります。
結局、売買注文状況が、寄りあとには下の表のようになります。
その後の売買は通常のザラバ方式で行われます。
東工取のシステム売買では、取引所のホストーコンピューターと取引員や会員会社の端末機をオンラインで結びます。
取引員はモニターに映し出される価格情報、取引状況の情報を見ながら、売買注文を端末機から入力することになります。
手振りで行う伝統的な立ち会い風景は見られなくなりました。
売買注文と同時に、委託者は取引上の担保として委託証拠金を商品取引会社に預託します。
これは現金のはかに有価証券をあてることもできます。
委託証拠金の預かり額は現在、約五千億円(商品取引会社百六十六社の合計)と推定されています。
委託証拠金には次のものがあります。
委託本証拠金を略して「本証」とも呼びます。
所管大臣の告示によって各商品ごとに定められていますが、相場変動により変更されます(表参照―九一年三月現在)。
▽委託追い証拠金=委託者が損勘定となったとき預けるもので「追い証」と略称されます。
通常は損勘定か委託本証拠金の半額以上に達した場合に請求されます。
例えばゴムの本証は標準価格が百三十円未満の場合、一枚につき四万円です。
一キログラム五円の損勘定だと一枚は五千キログラムですから二万五千円の損となり、本証の半額(二万円)以上に達したわけですから、損勘定分(二万五千円)の追い証を要求されます。
これに応じないと商品取引会社は委託者の建玉を処分できます。
資金いっぱいで余裕を持たせることが大事とよくいわれるのはこの。
追い証攻め”に備えるという意味が含まれているのです。
委託定時増し証拠金=ストップ値が適用されない当のケースの建玉に対して課す証拠金で、これによって担保能力を補てんします。
「定時増し」と略称されます。
納会が近づくにつれて波乱を未然に防ぐねらいがあります。
毎月一日あるいは十五日に請求されます。
委託臨時増し証拠金=相場の変動が激しく、売買高も急増してきた場合、取引を規制するためにかけるもので「臨時増し」と略称します。
委託本証拠金は毎月一日に前月の平均価格をもとに、商品別に監督官庁で告示しますが、定時増し、臨時増しなどは取引所で決めます。
商品取引会社のいっさいの労務に対する報酬として支払うのが委託手数料で、商品ごとに取引所で定めています。
委託手数料は買いまたは売り一枚当たりの片道の手数料ですから、一回の売買、すなわち往復では二倍の手数料がかかります。
東京砂糖取引所は一九八七年九月一日から、粗糖の委託手数料を下げました。
約定代金に占める手数料の比率が、金の約五倍、米国産大豆の約三倍と高かったことが理由です。
さらこ、ニューヨーク市場の砂糖先物取引の手数料に比べると五―十倍となっており、商社や個人投資家など利用者から不満の声が強まっていました。
手数料の自由化は現行法制度のもとではできませんが、商品先物取引の国際化の流れの中で、将来の検討課題であることは間違いありません。
八六年十一月に通産省産業政策局長の諮問を受けた「商品等の取引問題研究会」の答申でも「将来、一定の幅の中での手数料の自由化を検討する必要がある」と指摘しています。
半年から十八ヵ月のうちに決済限月というのは「期限月」の意味で、売買約定を最終的に決済しなければならない月のことです。
現在、わが国の商品取引所では、多くの商品が六−九限月制をとっており、六ヵ月から最も長いもので十八ヵ月先までを取引対象としていますが、外国では、三十ヵ月といった長期の先物取引も行われています。
原則として、毎月一日(繊維、生糸、乾繭は納日の翌日)に新しい限月(新ポという)が発会し、六ヵ月から十八ヵ月後に納会(最終立ち会い)を迎え、その限月の取引は終了します。
例えば.三月一日には翌年一一月に発会し、納会するわけで、その間に売り約定は買い戻し、買い約定は売り、差金決済します。
現物を受け渡す意思のない売買約定はこのように納会までに反対売買して決済しますが、現物を渡したいときや現物を引き取りたいときには、納会でも反対売買をしないでおくと、納会後に現物の受け渡しが行われます。
渡す方はその現物について、取引所が指定した倉庫の発行する倉荷証券を用意し、受ける方は現金を取引所に納入しなくてはなりません。
渡し方が用意した現物は抽選によってだれが、どの銘柄を引き取るかを決めます。
現物の受け渡しは、商社や生産者、需要家など上場商品に関連した企業が中心になりますが、最近は貴金属にみられるように、個人投資家が現物の受け渡しをする例も増えています。
毎月初めに取引の始まる新しい限月をいいます。
例えば、六限月制をとっている東京穀物商品取引所の米国産吉1の場合、三月初めになると翌年二月のケース生まれますが、これが新ポです。
この新ポがどう立つかは、相場全体の動向をみるうえで見逃せない点ですから、近づくと、順ザヤ(前記の場合では新刊二月のケースが十二月のケースより高いこと)に発会するか、逆(二月のケースが十二月のケースより安いこと)に発会するかをめぐって、市場関係者の関心が集まります。
一方、納会では納会値と受け渡し数量が重視されます。
高値で納会するか安値で納会するかは、納会後の相場に大きな影響を与えます。
納会値以上に重視されるのは受け渡し数量です。
市中浮動玉のバロメーターである取引所の納会で、予想外の受け渡し数量があったとなれば、納会節の次の節から納会ショックが出ます。
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